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資料室  平成15年度 講演会
カビを用いた室内環境の調査「カビ指数による環境評価」
環境生物学研究所 所長 農学博士 阿部惠子 氏
1.はじめに 2.カビ指数 3.定常環境におけるカビ指数 4.カビ指数とカビ汚染 5.カビ指数と浮遊真菌濃度 6.カビ指数とダニアレルゲン 7.まとめ 講演会のページに戻る
このページの内容・図版等の無断使用はおやめください。お問い合わせは、環境生物学研究所へお願いします→http://www.kamakuranet.ne.jp/~kabi/Japanese/index.html)

5. カビ指数と浮遊真菌濃度

5-1.化学物質過敏症患者用の療養住宅
5-1.化学物質過敏症患者用の療養住宅
1軒の住宅で、カビ指数と室内の空中浮遊カビの関係について調べました。
この写真は調査した住宅です。化学物質過敏症患者用の療養住宅で、2001年1月に完成した建物です。

5-2.化学物質過敏症
5-2.化学物質過敏症
化学物質過敏症は、かなり大量の化学物質に接触した後、あるいは微量な化学物質に長期間接触した後に発症します。
一旦化学物質過敏症にかかってしまうと、非常に微量な化学物質に再接触した場合でも症状が再び現れます。
住居から離れても、その後種々の微量な化学物質に反応するようになるので、治療のためには化学物質を遮断する必要があります。
そこで、化学物質を含まない建材を使った療養住宅が建てられました。

5-3.化学物質過敏症患者用住宅における室内環境測定
5-3.化学物質過敏症患者用住宅における室内環境測定
化学物質過敏症患者用療養住宅で、新築時に各居室で測定した化学物質の濃度です。
代表的な化学物質だけを示します。指針値は厚生労働省が示す基準値でこの値以下であれば良しとする値です。
何れの部屋でも全ての化学物質の濃度は指針値より何桁か低い値で、室内空気中の化学物質濃度に関しては非常に良い環境になっていました。
5-3-2測定項目
ところが、7月下旬頃から室内各所にカビが発生し、カビ臭により患者が種々の症状を訴えるようになりました。そこで、9月からカビなどの生物汚染物質の測定が実施されました。
カビ指数調査は、各部屋の北側壁面の下のほうにカビセンサーを設置し、設置期間は1ヶ月としました。
空中浮遊真菌調査は、室内中央でRCSエアーサンプラーで空気100リットルを吸引し、空気中の胞子をSDX培地に衝突させ、培養後のコロニー数をカウントし、空気1立方メートルあたりの浮遊真菌数を計算しました。
室内の汚染菌調査は、各部屋の床面を滅菌した竹串でかきとり、培地表面に画線し、発育したコロニー数が最も多かった1種類のカビを、室内汚染菌として分離しました。
なお、この住宅に冷房は無く、夏の日中は窓を開放していました。

5-4.9月のカビ指数と浮遊菌
5-4.9月のカビ指数と浮遊菌
9月の各部屋のカビ指数と浮遊真菌濃度です。
浮遊真菌濃度はカビセンサー設置時と回収時の2回測定し、その平均値を、調査月の濃度としました。
1号室(1階)、2号室(1階)、3号室(2階)、トイレ(2階)、浴室(1階)、ボイラー室(1階)ではカビ指数10以上が検出されました。これらの室内では、空気1立方メートルあたりの浮遊真菌濃度が1000個を超えていました。

5-5.浮遊真菌濃度とカビ指数
5-5.浮遊真菌濃度とカビ指数
9月の各部屋のカビ指数と浮遊真菌濃度の関係を図に示します。縦軸がカビ指数、横軸が浮遊真菌濃度です。
カビ指数が高い室内ほど、室内空気中の浮遊真菌濃度が高くなる傾向が見えます。
カビ指数は壁面で測定し、浮遊真菌濃度は室内中央で測定しています。壁面や天井などでカビが発育し、そこから胞子が飛び散って、室内空気中に漂っていた可能性があります。

5-6.9月の温湿度
5-6.9月の温湿度
調査住宅3号室(2階)と5号室(3階、3号室の真上)の9月の温湿度です。
3号室はカビ指数13.4で、カビが発育しやすい環境でしたが、 5号室ではカビ指数が検出されず、カビが発育しない環境でした。
両室とも9月の室温は15℃〜20℃付近でした。相対湿度は3号室は初旬から中旬までが70〜80%付近で、5号室は3号室よりもやや低めでしたが、両室とも下旬には相対湿度が50〜60%に低下し、変動パターンは同じでした。
温度と相対湿度だけから、カビが発育する環境かどうかを推定するのは、かなり難しいことがご理解いただけると思います。

5-7.9月のセンサー菌
5-7.9月のセンサー菌
3号室と5号室に設置したカビセンサー中のセンサー菌(ユーロチウム)の写真です。
3号室では9月に菌糸の長さが2mm近く伸びていました。それに対し5号室では胞子が全く発芽しませんでした。
温湿度からは、あまりよく判別できないような微妙な環境の違いも、カビを環境のセンサーに使えば、目に見える違いとして、はっきりと現れます。

5-8.室内から分離されたカビ
5-8.室内から分離されたカビ
室内汚染カビの一覧表です。各室内で最も数の多かったカビです。カビ指数の高い室内からは汚染カビが分離されました。
この住宅ではゲオトリクムが高頻度で分離されました。ゲオトリクムは下水や土壌中に多い菌といわれており、一般住宅にはそれほど多い菌ではありません。調査住宅がかなり湿っていたことを表しています。
5号室と6号室では汚染菌は認められませんでした。

5-9.住宅汚染カビ・ゲオトリクム
5-9.住宅汚染カビ・ゲオトリクム
ゲオトリクムの写真です。ゲオトリクムは白いカビです。
シャーレの中に流し込んで固めた寒天培地に、ゲオトリクムを接種して培養したものです。向かって左がPDA培地、右がDG18培地です。
PDA培地は好湿性カが育つ培地で、DG18培地は好湿性カビの一部と好乾性カビが育つ培地です。
ゲオトリクムは好湿性カビでPDA培地のほうで圧倒的によく育ち、 1週間の培養で培地全面に広がって発育しました。

5-10.浮遊真菌濃度とカビ指数
5-10.浮遊真菌濃度とカビ指数
10月のカビ指数と浮遊真菌濃度の関係を示します。
10月になるとカビ指数は室内ではほとんど検出されず、浮遊真菌濃度も空気1立方メートルあたり1000個以下になっていました。
1箇所、ボイラー室だけで、カビ指数が検出され、この部屋だけ、空気1立方メートルあたりの浮遊真菌濃度が1000個を超えました。
調査住宅では、カビ指数と浮遊真菌濃度にはかなりの相関性が認められました。

5-11.まとめ
5-11.まとめ

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